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大学教員になる方法 研究方法の種類と書き方

研究方法は好き嫌いで決めてはダメ

前回までは、先行研究の書き方について説明してきた。

今回は、大学教員になる方法 研究の方法-基礎で書いた内容を掘り下げる。

目次

研究方法の種類

おさらいになるが一般的には下記の内容がある。

定量的研究

定性的研究

に大別される。

これをもう少し分類すると下記のようになる。

定量的研究

 実験

 アンケート

 既存の統計資料(公官庁が発行しているデータなど)

 

定性的研究

 インタビュー

 フィールドワーク

 史料研究

だいたいこんな感じだが、厳密にはもっと複雑だ。いろいろな考え方もあるし、専門分野によっても違うのでだいたいこんなものという理解でお願いしたい。

実験

これは、被験者を読んで、A群にはαの内容をしてもらい、B軍にはβの内容をしてもらいそのデータを比較するなどが該当する。

僕はこの研究手法を取ったことがないので詳しくはわからない。

 

アンケート

みなさんも日常生活でよく見るアンケートである。研究領域でもアンケートを取ることが多い。このアンケート結果を集計したことから何が言えるのかということをまとめていく。

既存の統計資料

日本では様々な統計資料が公開されている。「e-stat」では膨大な統計資料を見ることができる。これらの資料を利用して自分が興味のある研究領域の視点で再分析することができる。

インタビュー

人に対してあれこれとインタビューして論文をまとめることである。インタビューにも様々な種類があり、個別インタビューやグループインタビューがある。

フィールドワーク

フィールドワークの定義は非常に広いのだが、僕のイメージはエスノグラフィーである。エスノグラフィーは研究者以外には馴染みが薄いかもしれない。

わかりやすい例は、とあるアフリカの民族のなかにお邪魔して1か月以上(期間は時と場合による)同居して、その生活実態をまとめるケースである。

なお、見るだけではなくて、そのなかでインタビューをすることもあるので研究の実践では、今回のように完全に分離してカテゴリー化することは難しい。

史料研究

これは歴史研究等の際に用いられる研究手法である。史料研究のなかにもいろいろ方法があるが、メジャーなのは一次史料分析だろう。

一次史料については、国立国会図書館の「歴史史料とは何か」の説明がわかりやすい。

過去に存在した事象を把握し筋道を立てるのに役立つ材料を「史料」と呼ぶ。紙に書かれた文献史料がすぐに頭に浮かぶが、口頭伝承、金石文、絵画、録音、映像(写真、動画)など様々な種類がある。遺物・遺跡なども広い意味の史料である。

史料は一つ一つ、歴史研究を行う上での有効性・信頼度(信憑性)が異なり、これを見極める作業を「史料批判」と呼ぶ。文献史料を例にとると、その目安となるものは、その史料を「いつ」「どこで」「だれが」書いたか、の三要素であり「そのとき」「その場で」「その人が」の三要素を充たしたものを「一次史料」と呼び、そうでないものを「二次史料」と呼んでいる。

一次史料の代表的なものには日記、書翰、公文書がある。

国立国会図書館「歴史史料とは何か」『史料にみる日本の近代史-開国から戦後政治までの軌跡』(https://www.ndl.go.jp/modern/guidance/whats01.html、Copyright © 2006-2010 National Diet Library. Japan. All Rights Reserved.)

例えば、織田信長の日記が新たに見つかったから、その日記を分析するというようなことである。

一見地味な研究だと思われがちだが、その社会的価値は計り知れない。一般講座で歴史研究をしている先生の話を聞くことがあるのだが、とても喜々と講義している先生が多いことが印象的である。

研究者はこれらの研究方法を駆使して、自分の明らかにしたいことに取り組んでいく。

続いてよくある質問について

どの研究手法がいいですか?

明らかにしたい内容による。これだけだと不親切なのでもう少し説明すると、対象となる人・モノが多い場合は、定量的研究、対象となる人・モノが少ない場合は定性的研究が望ましいと考える。

例えば、会社員に焦点を当てた「健全な食生活は仕事の能率と関係があるか」に興味があったとしよう。Aさんなど10人の意見をインタビューする場合と1000人にアンケートを取る場合でどちらに信憑性がありそうだろうか。逆に日本画家の著名人のみに焦点をあてて、「健全な食生活と仕事の能率に関係があるか」に興味があった場合、アンケートを取りたくてもとりにくいだろう。

例えば、室町時代の健全な食生活に興味があった場合、これは史料を用いることが望ましい。なんせ室町から生きている人はいないのだからインタビューもアンケートもできない。

というわけで、どの研究手法が適しているのかは、明らかにしたい内容によるのである。

次回は結果と考察の書き方について紹介する。

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