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研究計画書を書こう

研究の動機や研究の背景の構造を考える。

目次

研究計画書の構成

研究計画書を書くためには研究計画書の構成について理解する必要がある。詳細は大学によって異なるが、大枠はどこの大学でも同じである。

  1. 研究の動機や研究の背景
  2. 研究の目的
  3. 研究方法

研究の動機や研究の背景

これはなんでこの研究をしたいのかという動機である。(そのまますぎるか…)

例を挙げて説明しよう。内容はすべて「完全な創作」である。

テーマ:健全な食事が仕事および学業に与える影響

農林水産省設置されている食育推進会議において「第4次食育推進基本計画」(2021)が作成された。本計画の重点課題として(1)若い世代を中心とした食育の推進、(2)多様な暮らしに対応した食育の推進、(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進(4)食の循環や環境を意識した食育の推進(5)食文化の継承に向けた食育の推進、が挙げられてる。

 なかでも、(1)若い世代を中心とした食育の推進は、特に重要な課題であると考え得られる。食育に関する意識調査報告書(2018)によると、「健全な食生活を心掛けているか」という問いに対して「常に心掛けている」という割合が、20-29歳の世代は、他世代と比較すると低い傾向にある。とくに20-29歳の男性は、「常に心掛けている」は5.2%であり、食に対する意識の低さが顕著であると言える。健全な食生活をおくらないことは心身に様々な影響があると推察できる。特に長い時間を過ごす学業や仕事との関連を理解することは重要だろう。

 例えば、食とモチベーションの関連性について海原(2018)は、20代のなかでも若いほど食に関する関心が低く、食に関する関心が低いほど、仕事および学業に対するモチベーションが低いことを明らかにしている。また、山岡(2019)は、日ごろ意識的に野菜を摂取している人ほど、仕事および学業に対する満足度が高いことを明らかにしている。

 一方、富井(2020)の調査では、日ごろ野菜を意識的に摂取して生活満足度が上がるのは女性のみであり、男性には関連が見られず、むしろ肉を摂取することが仕事および学業に影響を与えていると報告している。

 このように食は、仕事、学業に対して影響を及ぼすことが明らかになっている。しかし、健全な食生活とはいったいどのようなものか統一された詳細な定義はない。また、一言に学業や仕事といっても、専門領域による違いなど詳細な研究が必要であると考える。

いかがだっただろうか。

段落ごとに構成をみていこう。

第1段落

研究テーマの大きな動向が書いてある。今回のテーマは「食」である。食に関して統括しているのは農林水産省である。そのため今回は農林水産省が食に関してどのような政策をとっているのかについて記述した。

これが例えば、文学の領域において仮に日本書紀の研究となると日本書紀研究の第一人者を取り上げて、日本書紀研究の大枠について書くのがいいだろう。

第2段落

あなた(今回は僕)が研究したいことに引き付けて書いてある。第1段落を具体的に書いたイメージだ。研究したいことがあなたの個人的動機ではなく、研究領域として妥当であることを示した。ここでの注意点は第1段落から飛躍しないことだ。例えば、第1段落で食育のことをいっているのに、箸の生産などについて記述してはダメだ。では飛躍しない文章とはどういうことかというと、「第4次食育推進計画」に一言でも文言が入っている事象であれば大丈夫だろう。

第3段落

第2段落で具体的に上げた事象を取り巻く研究について概説した。これは修士課程に無事入ったら先行研究を書くことになるが、その前段階として少しは入れる必要がある。

第4段落

第3段落に反することの記述である。研究結果は様々であり、必ずしも同じ結果ばかりではない。もし、同じ結果ばかりだったら研究する必要はないだろう。例えば実験した場所、方法、数が少し異なれば異なる可能性がある。文系の場合は、必ず同一条件で調査・実験というのが難しいという特徴がある。(理系もそうだったらごめんなさい)第4段落は研究結果の幅についてアピールしている。

第5段落

あなた(僕)がやりたい研究についてなぜ研究する必要があるのか、どのあたりについて研究しようと考えているのかについて書いている。

分量は大学によって異なるので、基本的な書き方についてボリューム調整をすればいいだろう。もし分量が少ない場合は、第3、4段落を増やして、分量が多い場合は、第2段落を凝縮すればいいと思う。

次回は、「研究の目的」について紹介する。

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