自信がなくてもハキハキ答える
前回、論文執筆で絶対にやってはいけないことをお伝えした。
今回は、博士論文完成(仮)後の審査会について紹介する。
博士論文審査会の時間
長い
修士論文の審査時間はどのくらいだっただろうか。
記憶が定かではないが、それほど長いものではない。
しかし、博士論文の審査はとても長い。
発表も長いし、質疑応答も長い。僕の場合、延長して80-90分程度は行った気がする。
あまりにも長丁場なので、緊張もしなかった。
「そんな長い時間発表できるだろうか」
という不安は不要である。
恐らく足りない。
「どこを削ったらいいだろうか」
という悩みに代わっているはずである。
本気の審査
修士論文が本気ではないということではないが、本気の度合いが違う。
僕の主観だと本気度は3倍程度である。
というのも、博士論文を修了させるということは大学の威信にもかかわってくる。
もし、レベルの低い博士論文で修了させてしまうと、大学のレベルも低いと思われてもしかたない。
「へー、この程度の博士論文で〇〇大学は修了することができるんだ」
と舐められるわけにはいかないのである。
博士論文までとなると、学生だけの問題ではない。
そのため、自ずと審査も厳しい。
質疑応答の攻略方法
博士論文審査会は、質問に対してのらりくらりとかわすことができるほど甘くはない。
例え、わけのわからない質問が来たとしても、答える必要がある。
審査会には、近接領域の先生がいることが普通であるため、自分の専門領域だけの知識で答えることは難しい。
そのため、もし質問がわからなければ、どのあたりがわからないか聞き返して質問を先鋭化してもらう必要がある。
「わからないので、今後課題とさせていただきます」
という学会でたまに聞くコメントは最悪だ。
恐らく質問者は、質問に対して完全な答えが欲しいわけでない。
(もちろん、答えられればそれに越したことはない)
わからない質問であっても、
「どこまでわかっていて」
「どこが明らかになっておらず」
「自信の専門領域の視点から考えると」
「今回の結果からは」
「ここまでいえる」
ということが知りたいと思う。(たぶん)
一言でいえば、
「瞬発的論理的思考」
とでもいえようか。
うだうだしないで欲しいのである。
研究者を続ければわからない質問をされることなんて山ほどある。
だからこそ研究者として「うまい」切り返しを見せて欲しいのだ。
そしてそれは張りぼてであってはいけないのである。
原著論文でも突っ込まれる
「原著論文として掲載されたからといって良質な論文とただちには言えない」
これは、何度かお伝えしてきたことであり、本当にそのとおりだと思う。
で、審査会では掲載論文に突っ込んでくる先生方がいる。
これも受けて立つ必要がある。
「学会誌に掲載されています」
こんなことは最悪な返答である。
どの程度のツッコミがあるのかによって返答パターンは異なると思う。
軽度なものは素直に従う方が無難だ。
論文の根幹を揺さぶるようなものであったら、それは丁寧にディスカッションをする必要がある。
間違っても学生側がむきになって反論してはダメだ。
なぜ論文のような結果になったのか、丁寧にプロセスを説明して質問者に納得してもらおう。
これらをすべて攻略できればいよいよ博士論文完成である。
これで大学教員になる準備は整った。
次回から大学教員になる方法について紹介したいと思う。