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論文執筆で絶対にやってはいけないこと

「内容」をパクる、はダメ絶対

前回、論文投稿のコツをお伝えした。

そのなかで、

良い論文を真似ることが良い論文を書く近道

でも内容を真似てはいけない

とお伝えした。

一体どういうこと?

と思われる方もいると思うので、この件について説明したいと思う。

目次

論文の構成を真似る

良い論文がどのような構成で書かれているのかを知る必要がある。

例えば下記の論文が学会賞を取ったとしよう。

内容は、41研究の動機や背景を加筆、修正したものである。

※内容は僕の創作である。

テーマ:健全な食事が仕事および学業に与える影響

農林水産省設置されている食育推進会議において「第4次食育推進基本計画」(2021)が作成された。本計画の重点課題として(1)若い世代を中心とした食育の推進、(2)多様な暮らしに対応した食育の推進、(3)健康寿命の延伸につながる食育の推進(4)食の循環や環境を意識した食育の推進(5)食文化の継承に向けた食育の推進、が挙げられている。

 なかでも、(1)若い世代を中心とした食育の推進は、特に重要な課題であると考え得られる。食育に関する意識調査報告書(2018)によると、「健全な食生活を心掛けているか」という問いに対して「常に心掛けている」という割合が、20-29歳の世代は、他世代と比較すると低い傾向にある。とくに20-29歳の男性は、「常に心掛けている」は5.2%であり、食に対する意識の低さが顕著であると言える。健全な食生活をおくらないことは心身に様々な影響があると推察できる。特に長い時間を過ごす学業や仕事との関連を理解することは重要だろう。

 例えば、食とモチベーションの関連性について海原(2018)は、20代のなかでも若いほど食に関する関心が低く、食に関する関心が低いほど、仕事および学業に対するモチベーションが低いことを明らかにしている。また、山岡(2019)は、日ごろ意識的に野菜を摂取している人ほど、仕事および学業に対する満足度が高いことを明らかにしている。

 一方、富井(2020)の調査では、日ごろ野菜を意識的に摂取して生活満足度が上がるのは女性のみであり、男性には関連が見られず、むしろ肉を摂取することが仕事および学業に影響を与えていると報告している。

 このように食は、仕事、学業に対して影響を及ぼすことが明らかになっている。しかし、健全な食生活とはいったいどのようなものか統一された詳細な定義はない。また、一言に学業や仕事といっても、専門領域による違いなど詳細な研究が必要であると考える。

段落ごとに構成をみていこう。

第1段落では、研究テーマの大きな動向が書いてある。今回のテーマは「食」である。食に関して統括しているのは農林水産省である。そのため今回は農林水産省が食に関してどのような政策をとっているのかについて記述した。

第2段落では、第1段落を具体的に書いたイメージだ。研究したいことがあなたの個人的動機ではなく、研究領域として妥当であることを示した。

第3段落では、第2段落で具体的に上げた事象を取り巻く研究について概説した。

第4段落では、第3段落に反することの記述である。

第5段落では、あなた(僕)がやりたい研究についてなぜ研究する必要があるのか、どのあたりについて研究しようと考えているのかについて書いている。

要約すると?

  • 第1段落は、研究テーマの一番大きな政策動向。
  • 第2段落は、第一段落を具体的に書く
  • 第3段落は、第1,2段落を取り巻く研究動向
  • 第4段落は、第3段落の反論
  • 第5段落は、第1-4段落をふまえた研究の意義

このように論文を分解して論文の構成を明らかにするとよい。

そんなに多くの論文をする必要はない。

せいぜい10本程度で十分だろう。

この作業を行うと、論文の構成がわかるようになる。

家でいえば骨組みにあたる。

どんなに立派にみえても骨組みがダメなら良い家とは言えないだろう。

10本も論文の解体をすると、学会の傾向がわかるかもしれない。

もしかしたら共通点はないかもしれないが、そのなかであたなが一番合っているなと思う論文を参考にするといいだろう。

また、指導教官に論文を読んでもらい、論文の評価をしてもらうとよい。

流石受賞論文というかもしれないし、受賞論文とは思えないというかもしれない。

もし、否定的だったらどのあたりがダメなのかもきちんと聞こう。

色々な意見を聞いて参考にしよう。

内容を真似ては絶対にいけない

当たり前のことだが、内容をパクるのはご法度中のご法度である。

数ある罪の中でも重罪である。

「うっかり」とか「魔が差した」という言い訳は全く通用しない。

もしも使いたい場合は、必ず引用する必要がある。引用のルールは、早期に身につけよう。

無断でパクったことが発覚した場合は、おそらくどこの大学も雇ってはくれない。

大学教員になりたい人が溢れているなか、わざわざ盗用した人を雇う理由がない。

それでも盗用が見つかるケースが後を絶たないのよね。

見つからないと思っているか、何も考えていないのか…。

将来、大学教員になりたかったら(ならない博士課程の人も)絶対に盗用はやめようという話でした。

次回は、博士論文審査会の特徴と乗り越えるコツを紹介しようと思う。

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