前回までで修士課程のお話は終了である。
今回からいよいよ大学教員になるための登竜門「博士課程編」である
修士と博士の構造は同じ
圧倒的に違うのは論文のクオリティ
では修士課程の受験とは何が違うのだろうか?
基本的には同じである。
しかし、
すべてにおいて質が異なる。
順を追ってみていこう。
指導教官訪問
まず、修士課程と同じ大学に通うか否かを決めなくてはならない。同じ教員にお世話になるのであれば、問題ないだろう。
もし、指導教官を変えるのであれば、改めて準備が必要である。
専門分野の関係で修士課程と同じ教官に指導してもらえない場合、可能であればお世話になりたい教官を紹介してもらおう。
狭い分野なので知り合いということはよくある。
紹介してもらえれば、色々とスムーズだし安心できる。
問題は、折り合いが悪くて指導教官を変更したい場合である。
人柄が嫌だった。
指導が丁寧ではない.
こんな理由だと、そのまま指導教官に言えるわけがない。
極力円滑に変更するために角が立たないような理由を考えよう。
繰り返すが、狭い業界なので同じ分野の先生方はつながっている場合が多い。
どんな言い訳がいいのか具体的に思いつかないが、頑張って素敵な理由を作ろう(無責任)
研究計画書
修士課程のときよりも何倍も気合を入れて書く必要がある。
審査する側は厳しく読み込む。
修士課程受験のときの研究計画書では研究の初学者が書いたもので、それほど厳しく読むことはないと思う。入学後に習得してもらえばいいと考えるからである。
しかし、博士課程の場合はある程度取得済という前提である。
そのため実行可能な研究計画が求められる。
ポイントは
先行研究の動向は丁寧に抑えているか?
研究で明らかにしたい内容が明確か?
研究で明らかにしたい内容に対して適切な研究手法が記載されているか?
ということだろう。
特に先行研究は世界の動向も把握していることが重要だ。
特殊な分野意外は、海外ジャーナルをレビューすることも必須である。
修士ではこのあたりは見逃されることもあるが、博士で見逃されることはない。
もし、海外文献がレビューされていない場合は、学会でも学会誌でも論文審査でも突っ込まれることなる。
筆記試験
どのような問題がでるのかは、「指導教官訪問」で確認するのがよい。これは修士課程と同じである。
過去問を手に入れる。これも修士課程と同じである。
ここからが博士課程で注意が必要なところだ。
英語が難しい。
専門分野の英文読解はできるようになっていないと落ちる。
出題内容は、大学受験のような文法はでない(たぶん)。
でるのは、あなたが受験する分野の長文読解である。
英語が苦手な人は、きちんと事前に対策をしよう。
どうやって対策すればいいかというと、修士と同じ大学院の場合は、修士の指導教官に聞くのがベストである。
他大学の場合は、過去問をやり込むのがいいだろう。
つまり、センター対策と同じようなものである。過去問をやり込めば出題の傾向がわかるし、勉強すべき英語のレベルもわかる。
英語論文を読んで、英語力を鍛えれば研究の動向を理解することもできるし一石二鳥だろう。
面接試験
研究計画書に関する質疑になると思う。そのあたりは事前準備ができていれば問題ないと思う。
その他、気合について聞かれると思う。
どういうことかというと、本当に博士課程に入り人生を研究にかけるかどうかということである。
日本の文系で博士課程に行くということは大学教員になるためというのがほとんどだ。
日本の一般企業で文系博士課程修了者は歓迎されるとはいいがたい。
ということは、ストレートでも27歳まで学生生活を過ごし、その後研究者としてがんばっていくつもりかどうかを問われるだろう。
27歳まで学生生活はしんどいことが多い。
博士課程に進むくらいなので日本の大学教員事情は把握しているとは思うが、
「え?博士課程修了すれば大学教員なれるんじゃないの?」
という最悪の事態は避けたいところである。
次回は、博士課程のテーマの決め方について紹介する。